ワインは人をダメにする

正確には赤ワイン、チーズ、パンが揃った時だが。

個々に食べてももちろん旨いのだが、この３点セットが揃うと世界が変わる。ずっと飲み食いしていられる。そんな気分になる。気分、というのは、実際にはそんなこと無理で、現実には食べ続ければ腹は満ちるし飲み続ければベロベロになる。

ワインは旨いやつほどするする飲めて、最初はゆっくり飲んでるつもりでも気づいたらペースアップして泥酔してしまう飲み物である。パンとチーズがそれを加速させる。おそろしい。フランス人にとって、ワインを飲むときはバゲットとチーズが必須なのだそうだ。納得である。それ以外の組み合わせは考えられない。

昨日は真っ昼間からワインを飲む催しがあった。友人宅で、友人購入のワインとチーズを、私購入のパンとチーズと共に。酔った。存分に酔った。参加者全員が酔った。ワインを５本空け、飲むものがなくなった飲兵衛どもは居酒屋へ繰り出した。キンキンに冷えた生ビールがうまかった。炭酸の効いたハイボールがうまかった。何杯も飲んだ。

気づいたら朝になっていた。目が覚めた時、何が起きたのか分からなかった。いや、本当は分かっていた。本当は冷静だった。認めたくないだけだった。私は、とても冷静に、今日が月曜であることを呪った。呪うしかなかった。有休という名の魔術を唱えようとしたが、現実がそれを許さなかった。現実は非情だ。ワインでも飲んで逃避したい気分だ。