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かつては日々の食事メモでした。

お酒を飲むと喉が痛くなる

ひどい時期は週の休肝日が0日で、3週間に1度は病院に行っていた。

飲酒の季節がくると私は飲むことを止められなくなる。それは紛れもなくアル中のそれであり、日に日に弱っていく自分を実感できた。ホストの気持ちがささやかながら分かってくるし、社畜がトイレで寝るのも大いに理解できた。それでも止めないのは飲んで騒ぐと楽しいからであり、それは疲労にも勝るものであった。 

アルコールそのものの中毒性は気にしなくてもいいと思っていた。それより問題だったのは飲むと楽しくなるという幻想であり、それは実態のない蜃気楼であった。そこに行けば何かがある。何かが起こるはずだ。そんな気持ちが自分を突き動かした。しかしそこにあるのは、記憶に残らないような素人漫才であり猥談だった。奇跡もワンチャンも事件もなく、そこにあるのは常軌を逸しない笑いだった。世界は変わらず自分の身体だけが蝕まれていった。

ある時期からのどの調子が良くないのが気になってきた。最初は痛みというほどのものではなかった。しかし抜群に違和感があった。風邪を引く前のような気だるさはなく、ただただ喉がおかしいと感じていた。その違和感は日増しに肥大化し、最後は耳の方まで痛くなってきた。そのころには、扁桃炎に違いないと思うまでに至っていた。片耳だけ痛いのが余計にリアルだった。

医者はのどを覗くなり「ああ腫れてますね」と言った。やっぱりなと思ったし、当たり前だろと思った。耳まで痛いのは細菌の侵食が広がっているからであり、抗生物質の投与が必要になっていた。薬を飲むと異常は治り、違和感もあっさり霧消した。バカ騒ぎもひと段落がつき、健康で文化的な最低限度の生活を送れていた。のどが爆発する前に鎮火できたのは一安心だったし、危険になるとシグナルを発信するんだなと身体の神秘に感心しきりだった。

その後数日が経った。喉元過ぎれば熱さを忘れる。また飲酒を再開していた。3日もするとまたのどがおかしくなってきた。前回とは逆の耳が痛かった。医者に行くと同じ薬を投与され、飲酒をやめると痛みは引いた。因果関係は確定的に明らかだった。もちろん飲酒は楽しい。内容が皆無な戯れを積み重ねて奇跡を目指すのである。やめられるわけがない。しかし以前と違うのは、度がすぎればのどや耳がストップを掛けてくれることである。繰り返される飲酒で私の頭はすっかりバカになったが、身体はまだバカじゃないらしい。今しばらくがんばっていただきたい。